○外国為替とは
貿易の無い状態では、各国はそれぞれの通貨で自国内決済しています。
これらの地域で貿易をはじめる場合、通貨の違いが障害になります。
アメリカにとっては日本円は必要ありませんし、日本にとっては米ドルは必要ありません。
そこで、交易をはじめるためには通貨同士の交換が必要になります。
通貨同士を交換する際の仕組みを「外国為替」といいます。
国内で預金データをやりとりする仕組みを「内国為替」、または単に「為替」といいますが、これの対外版です。
具体的には、外国専用の口座を持った銀行(コルレス銀行)同士が口座を開設し合い、
その口座内で決済を行います。
相手国の通貨圏内では通常の取引を行い、
本国と送金する際に、コルレス口座同士で、為替レートに基づいて口座残高を調整します。
現在では、コルレス口座以外の外国為替決済方法も登場しています。
今回は外国為替の仕組みについて説明していきます。
外国為替の基本
4大通貨
外国為替は国際間の債券・債務を決算する仕組みのことです。
通貨の交換場はありませんが、EBS等の電子ブローキングシステムや金融機関のネットワーク、ブローカーなどの総体を外国為替市場といいます。
通貨の中でも、特に米ドルは国際取引の契約、決済、価値保蔵に使われ、基軸通貨と呼ばれています。
為替レート
通貨交換は為替レートに則って行われます。
例えば円をドルに替える場合1ドルあたりに何円支払うかという各国通貨の交換比率のことです。
為替レートは政府・金融機関の動向により常に変動します。変動の要因は長期的要因と短期的要因に分けられます。
長期的要因から詳しく見ていきましょう。
「購買力平価」は同一の物が同価格になる通貨の交換比率です。
金・原油・タバコ、ビックマックなどはどの国にもあることから、購買力平価を測るのために用いられています。
次に「国際収支」ですが、貿易などで得た外貨保有高は為替の変動要因と考えられ、
例えば日本の国際収支が黒字の場合は、貿易で得た外貨を円に両替するため外貨売り円買いとなり、円高要因になります。
次に短期的要因です。
「金利の変動」ですが、一般的に金利が高い国が発行する通貨は需要が高まって上昇し、
低金利の通貨は下落する傾向があります。「為替介入」は政府が売買を行うためにおこる変動です。
「経済指標」は市場の予想と反した場合に為替に大きな変動をもたらします。
「政治的要因」は各国の政府要人の発言等です。特に日銀総裁やFRB議長、ECBの要人発言などは急激な変動をもたらす場合があるので注意が必要です。
「紛争・戦争」は経済に影響を与えると懸念される場合に変動要因になります。
このように為替は様々な要因で変動するため予測が難しいといわれていますが,
将来の為替レートを読むには長期的・短期的要因を総合的に見て判断することが必要です。
為替レートを利用して資産運用をする
私達が身近で外国為替を利用する方法として外貨建て金融商品があります。表に沿って見ましょう。
①長期的要因を利用
長期の為替変動を利用する場合は安全性・や為替の差益と金利収入を見込んで選ぶことが重要です。
今回は外貨定期預金を例に挙げます。
例)預入時 1ドル=100円 米ドル建外貨預金 1万ドル
円での預入額 1万ドル×100円=100万円
引出時の為替 110円(円安) 1万ドル×110円=110万円 +10万円
90円(円高) 1万ドル×90円=90万円 -10万円
実際は金利収入が含まれるのでマイナス部分が減り、プラス分が増えます。
通貨を選ぶ際は高金利、低手数料を考慮するとより効率よく運用ができるでしょう。
② 短期的要因を利用
短期変動、短期売買で利ザヤを狙うFX取引が最適です。
外国為替証拠金取引と呼ばれ証拠金を担保にしてその担保の何倍もの金額で為替取引ができます(レバレッジ)。
最大レバレッジは業者ごとに決められています。買い、売り注文のどちらからでも取引が可能なので円安・円高のどちらに振れても為替差益を狙えます。
例)自己資金10万円 100万円分の通貨取引
この場合、100万円/自己資金10万円=レバレッジ10倍の取引をすることになります。
100万円を運用し、100円/ドルでロング(買い)、売り101円/ドルでショート(売り)すると100万円→101万円になり、差額の1万円の利益になります。
レバレッジを25倍にすると自己資金4万円で1万ドルの取引ができます。
このようにレバレッジを利用すると資金効率がよくなります。
重要な経済指標の発表後や政府要人の発言でも大きく変動するので数分の売買で莫大な利益を狙えるのも特徴の1つです。
他にもFX取引は為替の手数料が外貨預金よりも格段に安く、金利収入も見込めるため短期売買以外にも金利目的で保有する運用方法もあります。
外国為替で重要な事
為替とは現金を直接遠隔地に送金するのではなく遠隔地とある条件の下にお金をやり取りする契約を結ぶと言うことです。
為替は「いつ」行われるかが重要で受渡し時のレートで利益あるいは損失になるかが決まります。
今回は触れませんでしたが通貨金利も為替取引では関係しているため、
外国為替では金利と通貨の交換比率がセットで取引されているという認識を持つことが重要です。